コモディティ建て暗号資産の発行量が5年ぶりの高水準に──金取引の動向が影響 | CoinDesk JAPAN（コインデスク・ジャパン）

• 金に裏付けられたトークンが主流を占めるコモディティ建て暗号資産の発行額は、過去最高の4億3900万ドル（約645億円、1ドル＝147円換算）と、5年ぶりの高水準に達した。
• この急騰は、金先物が史上最高値を更新したことに加え、米国の関税がスイスの金輸出に与える影響への懸念が高まっていることを受けて起きた。
• テザーゴールド（Tether Gold）やパクソスゴールド（Paxos Gold）といった金に裏付けられた暗号資産は、関税の影響を受けて一時3390ドル（約49.8万円）を超え、金先物も3500ドル（約51.5万円）を超えた。

金に裏付けられたトークンが主流を占めるコモディティ建て暗号資産（仮想通貨）は、発行額が過去最高となる急騰を記録し、発行額は少なくとも5年ぶりの高水準に達した。

この急騰は、スイス貴金属協会が、米国によるスイスへの39%の関税が国際的な金現物の流れに「悪影響」を及ぼす可能性があると警告したことを受けて、金先物が史上最高値の3500ドル（約51.5万円）を超えて取引された後に起きた。ホワイトハウス当局者がブルームバーグに対し、大統領は金塊の輸入には関税を課さないことを明確にする政策を導入すると述べたことを受けて、金スポットと金先物は急騰後に下落した。

しかし、金に裏付けられたトークンの発行が止まることはなかった。

スイス貴金属協会による警告を受けて、テザーゴールド（Tether Gold）やパクソスゴールド（Paxos Gold）といった金に裏付けられた暗号資産も一時3390ドル（約49.8万円）を超えた。 RWA.xyzのデータによると、発行量は1週間で4億3900万ドル（約645億円）に達し、2021年の過去最高額1億9500万ドル（約287億円）の2倍以上となった。

金庫に保管された現物の準備資産に裏付けられたこれらのトークンは、投資家が貴金属へのエクスポージャーを得ることを可能にし、国境を越えることなくオンチェーン上で即座に送金できる。

自国に鉱山を持たないにもかかわらず、世界の金（ゴールド）の大部分を生み出しているスイスは、過去1年間で610億ドル（約9兆円）以上の金を米国に輸出した。

この動きはスイスで政治的な反発を招き、一部の議員は金業界に経済的影響の一部を負担させるよう求めている。スイス国立銀行のデータによると、貴金属はスイスによる輸出において4分の1以上を占めている。